2022年度【出力制御】大幅変更!?

202111.15

2022年度、「出力制御対象の拡大」と「経済的出力制御(オンライン代理制御)」が実施される予定!
(すでに稼働中の設備にも大きな影響が予想されます。)

■出力制御対象の拡大■
出力制御には以下のの3種類があります。

・旧ルール
・新ルール
・指定ルール

ルールごとに、「無補償での出力制御上限」や「出力制御機器の設置義務」に違いがあります。

① 無補償での出力制御上限
・旧ルール…年間30日
・新ルール…年間360時間
・指定ルール…無制限

②出力制御機器(オンライン遠隔出力制御を可能にする機器)の設置義務
・旧ルール…なし
・新ルール…あり
・指定ルール…あり

※3つのうちどのルールが適用されるかは、電力会社ごとに設備の規模や接続申込の時期により決まります。
FIT制度を利用するすべての事業者はいずれかのルールに属しています。

■従来の出力制御対象■
・500kW以上の旧ルール事業者
・10kW以上の指定ルール事業者、新ルール事業者

■新たに追加される制御対象■
・10kW以上500kW未満の旧ルール事業者

すでに出力制御が実施されている九州電力管内を例に見てみますと、これまでは
・500kW以上のすべて
・2015年1月26日以降に連系承諾を受けた10〜500kW未満
の事業者が出力制御対象でしたが、変更後は
・10kW以上のすべての事業者
が出力制御対象になるということを示しています。

■旧ルール10〜500kW未満は出力制御対象外では?■
経産省資料を読み解くと「当⾯の間は出⼒制御の対象外と整理されてきた旧ルール500kW未満の太陽光・⾵⼒についても出⼒制御の対象」とするとあります。またその根拠として「すべてのFIT認定事業者は出力制御に協力することが制度で定められており、発電事業者も同意したうえでFIT認定を受けている。」の旨が記載されています。
これは認定を受ける際の遵守事項に
「接続契約を締結している一般送配電事業者又は特定送配電事業者から国が定める出力制御の指針に基づいた出力制御の要請を受けたときは、適切な方法により協力すること。」
が含まれており、これに同意した上で認定を受けているため、FIT認定を受けている人は全て「出力制御に同意している」ことになり、当面は出力制御対象外としてきたが、これからは出力制御対象とする、ということになります。

何年も前に同意したとはいえ、いずれ出力制御の対象になると実感している方は少ないと思われ、この変更が実施される際には大きな混乱が予想されますので、今後のニュースにご注意ください。

■経済的出⼒制御(オンライン代理制御)の導入■
旧ルールは出力制御ユニットなどオンラインで出力制御を行う機器の設置義務はありませんが、手動制御を課したり、オンライン制御機器の設置を課すのは現実的ではありません。どのように制御するのでしょうか。
同時に導入される「経済的出⼒制御(オンライン代理制御)」で制御されます。

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オフライン事業者(オンライン制御機器なし)が行うべき出力制御を、
オンライン事業者(オンライン制御機器設置済み)が代理で実施し、
オフライン事業者が出力制御を行ったとみなして、
オンライン事業者がその買取価格で発電を行ったとして対価を受け取る
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というものです。

オフライン事業者が手動で制御する場合と比較して、
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・オフライン事業者の手動制御の負担軽減
・オンライン制御なら、実需給に近い柔軟な調整が可能
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といった効果があります。

例えば、九州でオンライン代理制御を導⼊した場合、オンライン制御とオフライン制御が混在する現状と⽐べて全体の制御量が2割程度低減する効果が見込まれます。

■適用時期■
時期としては遅くとも2022年度内にははじまると想定されます。経済的出⼒制御(オンライン代理制御)は、詳細な制度設計が進められているところで、以下のサイトなどで議論内容が追加される模様です。

なるほど!グリッド!<出⼒制御について>
系統ワーキンググループ(オンライン代理制御に係る議論)